病児保育の現場について(システム導入についての考察も)※前回の続き
先日はとある病児保育の現場にお時間をいただきまして意見交換をさせていただきました。
そもそも、私が現在病児保育に興味を持ち調査しているのは社会ニーズが高いということがあります。
お子様の体調不良があっても仕事を休めないという保護者の方は実際多いと思います。
自分の代わりがいない。子の看護休暇は使い切った。家庭の事情。キャリアに影響する・・。
また病児のお子様の看護(保育)を自宅で続けるということには保護者の心の負担も少なくありません。月齢によってはひと時も目を離せない。ご自身の睡眠時間も取れない。ということも経験された方も多いのではないでしょうか?そういった意味では病児保育事業は欠かせません。
そうした背景に加えて仕組みの改善がさらにできるのではないかと感じたのは決算特別委員会でのことでした。
その後、幾つかの勉強会や他市事例なども調べていき今に至ります。こちらが先日の勉強会について。
そして今回はとある病児保育の現場にお時間を頂き意見交換をしてまいりました。
やはり現場でお話を聞く重要さを肌で感じました・・。本ブログではそこで感じたことを中心にまとめました。個人的な見解としてお読みいただけると幸いです。
■実際の病児保育の現場について
・施設スタッフは出勤直後からの対応はかなりハードである。
→これは自治体により異なりますが電話対応での予約を基本している施設が多く、業務開始とともに電話が鳴りやまない日も多い。(1時間程度はひたすら電話対応ということも)
また開始数分で定員分の予約は埋まってしまい、残りの時間でお断りやキャンセル対応などをされていきます。
・電話対応の難しさと利用者の配慮
→病児保育の各施設の定員は5名前後ということが多いのですが、電話での予約受付となると優先順位付けを行うことが非常に難しい。
例えば、病児保育では感染症対策で隔離する部屋を用意するわけですが、水疱瘡やアデノウイルス、インフルエンザなどの感染力が高い病気にかかっている病児を1名預かれば、隔離室にはその同様の病気のお子様しか受け入れることができません(感染防止のため)。
多くのご家庭をサポートするためにはその点を考慮しながらも対応しなくてはなりません。
また保護者の心理としては発熱したら数日は利用するだろう。だから予約を取っておこうとなるわけです(私でもそうすると思います)が、夜にはあった熱が翌朝には下がっている。ということはままあります。それ自体は良いことですし、お子様も無事登園が出来ることは喜ばしいことですがここでしっかりといち早くキャンセルのご連絡を施設に入れていただく必要があります。
その1名枠が他の困っている誰かに回せる。ということは重要な点です。
実は病児保育の現場ではこの無断キャンセルにご苦労されているということもあります。
先述の通り、体調が回復して使う予定がなくなる。だからキャンセルを行う。ということはむしろ喜ばしいことです(私がうかがった施設様もそれは嬉しいという話をされていました。)がそれを施設に伝え他の方の利用に回してもらう。ということまで是非気にかけていただけると幸いです。
・情報のない中での保育の難しさ
→病児保育では初めて利用されるというお子様も多いわけです。その中で日頃の生活状況が分からないということは非常に難易度の高い保育につながります、しかも病気の時の保育です。
病児の気持ちの落ち着かせ方、水分の取り方などそれぞれ個人差がある中でそれを判断していくことは難しいのです。私が目にしたり過去聞いた情報の中には「医師が近くにいるから、お子さんの人数が少ないから負担が少ない。」というものもありましたが実際はその逆というケースもあるわけです。(前回のブログでの記載では誤解を与える文面でもありましたので訂正させていただきます。)
中には1日中、だっこをし続けなくてはならないという場合もあるとのこと。
よく考えれば我が子も小さいときには夜全く眠れず妻と交代で抱っこし続けたという経験もありました・・それが日常に起きている現場ということでもあります。
また病気への感染への不安との戦いもあります。私が伺った施設ではマスクだけでなく感染防止用のゴーグルなども支給されていました。
私がお話をしていてハッとしたこととしては、施設の保育士さんに教えていただいた
「子どもが病気の時には保護者へのサポートも大切」
という言葉でした。
お子様が病気の時は本当に一人で悩みを抱えて神経をすり減らしている保護者も多く、相談を受けられる場であり、少しでも弱っている保護者の方も一息つける場として重要だと思います。
その意味では就業中の方だけでなく、子育て中の皆さまにとってこの病児保育というシステムは大きな意味があるのではないでしょうか。
またそうした不安の中で戦っているお子様や保護者の方へ保育を提供していることが、本当にやりがいがあるのだという志の高い皆さんに支えられているのだと感じました。
■目指すべき方向性(大浜の考え)
1.枚方市における病児保育事業そのものの考え方をバージョンアップさせたい
→今まで積み重ねてきた(特に枚方市は病児保育発祥の地でもあります)ノウハウを大切にしながらより多くの方が利用できる仕組みを作ることや、その病状や状況に応じて施設型だけでなく訪問型なども含めて大きな枠組みとして検証、検討をしていく必要があると思います。
2.システムの導入で利用者も施設側もより良い関係に。
→利用者目線だと朝に電話で予約が取れるかどうかわからない中、かける。施設側としてもその場で優先順位をつけたり判断をする、予約とキャンセルの対応を行い続ける。ということは非常に大変だと思います。システム利用を行いそうした煩雑さを交通整理を行っていくことができれば互いにとってよりスムーズな対応やお子様への負担も減らすことができるかもしれません。
3.多くの方に知っていただき使いやすい仕組みを。
→病児保育というシステムをご存じない方が実はまだ多い。病児保育の利用率は全体の3割程度という資料を目にしたこともあります。それぞれの家庭の考え方がありますがまずはサービスを知っていただき利用しても良いんだと感じていただくことが大切です。
※そのためにはプロモーションだけでなく料金設定や送迎サービスなど検証は必要だと思います。
4.情報蓄積と施設間の情報共有でより安全性を。
→2のシステム導入に近いかもしれませんが、病児保育の重要なことは「安全性」だと思います。
日頃施設の保育士さんや医師の皆さまはその点においてご配慮いただいておりますが、そこにその病児の日頃の情報や普段通園している保育園からの様子に関しての情報などがあると格段に安全性や配慮すべきポイントについても理解度が高まります。
勿論個人情報や個々の事情など考えるべきハードルは高いと思いますが、「病児と平時に分けた保育」ではなく一貫した保育(育児)の中での変化であると考えると必要なことではないかと感じます。
前回のブログでも記載をしていたように、継続した委託事業を実現するためには
施設側も雇用の安定ができる(黒字化)ことや利用者の使いやすい仕組みの両立が重要だと考えています。
枚方市において安心して子育てができる環境整備を目指して引き続き活動していきます。
どうぞよろしくお願いします。