人口減少を生き抜く『スマート・シュリンク』とは?岡山県美咲町の公共施設・機能集約に学ぶ自治体経営
少し時間がたってしまいましたが、先日会派行革PTメンバーで岡山県三咲町に視察に伺いました。
聞き馴染みがないと思いますが「スマートシュリンク」というテーマで今回視察へ。
スマートシュリンクとは人口減少社会において行政機能や公共サービスを効率的に集約・再編し、限られた財源でも住民の生活の質(QOL)や幸福度を維持・向上させるための都市・地域戦略を指します。
今回は三咲町の青野町長自らご説明いただきました。

三咲町は人口減少、公共施設の老朽化など全国規模で起きている問題に対して新たな向きあい方をしていることで注目を集めており、それがスマートシュリンクです。
これからの自治体経営は、人口減少に「抗う施策」ではなく、減少を前提とした「賢く収縮する(スマート・シュリンク)施策」へ舵を切るべきであると考えます。 従来の人口維持を目的とした一過性の政策には限界があります。インフラや公共施設の規模を地域の身の丈に合わせて戦略的に縮小・集約し、住民の生活質と財政健全性を担保する持続可能なモデルへの移行が不可欠です 。
美咲町における成果について
美咲町が推進する「スマートシュリンク」の有効性は、以下の3つの具体的なデータと成果によって実証されています 。
① 徹底した公共施設マネジメントと財政効果
美咲町は延床面積が全国平均の2倍以上(住民1人あたり約7.19㎡、全国平均3.42㎡)という過剰なハコモノ資産を抱えていました。
- 現状把握: 民間事業者に委託して一定規模以上の全施設を網羅する「施設カルテ」を作成。
- 試算: 今後40年間で年間46%の維持管理費用(年間約5.2億円)の縮減が必要であるという厳しい財政試算を導き出しました。
- 成果: 施設の機能集約(多機能化・複合化)を断行した結果、物産センターの売上が3割増加(図書館利用や公民館利用も増加)。さらに、余剰スペースの削減等により電気代をはじめとする光熱費の2割削減を達成しました 。
令和6-7年度にかけて処分床面積は【45.1%】削減。
※新設床面積(機能集約による統廃合など)を加味すると28.1%の削減を実現。
一般的に自身の地域の公共施設や学校施設がなくなるということに対して前向きな感情を持つ方はいない中で、こうした考え方を行政主導で押し付けたのではなく、【地域の住民自治組織】の中でもまちづくりに対しての意見交換を続け向き合い続けたということが極めて稀有な事例だと考えます。
※正直すぐにまねできる類ではないと思います。
② 義務教育学校への「8機能集約」による利便性維持
学校の統合に合わせ、子どもの教育環境整備だけでなく、地域住民の生活インフラを維持する拠点を構築しています 。
- 施設一体型の義務教育学校(「旭学園」「柵原学園」等)に、支所、公民館、診療所、保健センター、シルバー人材センターなど「8つの機能」を集約 。
- 行政サービスと生活福祉サービスを1ヶ所にまとめることで、人口が減少しても住民が歩いて、あるいは一箇所で用事を済ませられる効率的な動線を確保しています 。
③ 官民連携(公民連携)による実証実験の推進
自治体単体で予算と人員を抱え込んで完結させるのではなく、多様な民間企業とのコラボレーションを積極的に推進しています 。
- 新たな行政サービスの仕組みや、地域課題(空き家対策、高齢者支援など)の解決に向け、企業のノウハウや技術を取り入れた実証実験をスピーディーに展開しています 。
自身の考えについて
今回行革PTメンバーで視察を行い様々な気づきや議論を進めていますが、今回の視察きっかけに今後しっかりと詰めていかないといけないと考え、私が興味関心を持ったものとしては大きく2つです。
民間企業とのコラボレーションの強化
以前より進めていますが、ゼブラ企業の育成および地域課題解決についてはより進めていくべきだと感じました。
様々企業との協定を結び行政としてのすそ野を広げていくこということもそうですが、行政が抱える地域課題についてビジネスと結び付けていくということをいち早く促進をすべきだと強く感じました。
これはまた別のブログで書いていこうと思いますが、基金の創設に加えて、ふるさと納税を原資にした創業支援やスタートアップ支援につなげより市全体の力を高めること。
まちづくりの考え方について
公共施設マネジメントの推進や、小中学校の統廃合などについては過去より複数の議員も取り上げ私自身も必要な改革だと捉えています。過去ブログ
それとは少し異なる視点になりますが、そもそもの枚方市における立地適正化計画もっと言うと、居住誘導区域の設定について深掘りをしていくということも重要ではないかと考えています。
居住誘導区域というのは、自治体が人口減少の中にあっても、区域内の人口密度を一定以上に保つエリアにおいて、
都市機能や持続可能な公共交通機能の確保などを図りつつ、安全で快適な居住環境を形成することにより居住の誘導を図るため、居住誘導区域の設定をされるとあります。
ただ単に、公共施設マネジメントを推進していくのではなく、将来的なまちの形を考え、この広い枚方市という地域の中でどこに人口誘導を行っていくべきなのか。
その先にこうした公共施設の在り方というものも検討できるのではないかと考えます。
様々な要素が複雑に絡まるわけですが、私としてもこうした複数の観点で今後は調査研究を続けていきたいと思います。



