枚方市のお財布事情(令和6年度決算速報値)
先日、枚方市の令和6年度決算速報値が発表されまして概要の解説や私なりのポイントと思う部分も備忘的に記載をしておこうと思います。
数字上のざっくりした概要
歳入(市の収入)は1669億4400万円
歳出(市の支出)は1644億5700万円
実質収支は19億7900万円の黒字となっています。
※実質収支とは市が自由に使えるお金の残高。(形式収支から翌年度の繰越すものを差し引いたもの)
📍注意点としては「単年度収支」は2年連続の赤字(▲3億7400万円)。
→歳入と歳出の差額でこれが2年連続の赤字で傾向としてここが増加し続けると財政上苦しくはなります。ただ、どうしても福祉的な支援や投資的経費の増加など一時的な単年度赤字は起こりうるので即座にここが赤字だからけしかん!とはなりません。
財政については複数の観点から見る必要がありますが、あくまでもこうした数字が出ているということを抑えておく必要があります。
枚方市の収入はどんな感じ?
結論から言えば、実質的には増加傾向が続いています。
とは言え人口減少、少子高齢化は着実に進んでいるのでそこへの向きあいはしていく必要があります。

📍令和6年度の市税収入は577億4000万円と令和5年度と比較をすると減少をしていますが、これは国の「定額減税」による一時的な要因で現時点では市税収入については堅調に推移していると言えそうです。(減税による減収補填は地方特例交付金で全額回収)
法人市民税については大きく飛躍しておりインフレ等による企業増収が影響していますが、こちらも一過性の可能性もあるため注視は必要です。
ただ他には課題はもちろんあります・・
枚方市財政の気になる点
まずは以前より指摘をされていますが、【経常収支比率】の上昇が止まらない点です。
※経常収支比率とは自治体の財政構造の弾力性を示す指標ですが、
家計でいえば、毎月決まって入る収入のうち、必ず支払う必要のある生活費(家賃、光熱費、食費、ローンなど)が占める割合というイメージです。(要は家計に余裕があるから気軽に外食!みたいなことが減っていくような感じでしょうか。)
枚方市はこの経常収支比率が現在、【98.9%】と前年度1.3%増と悪化しており、決められた予算の中で優先順位を明確にしていくことや、施策の時代に合った見直し、無駄を削減していく、収入増加をどのように行っていくのか。などが求められます。

次に気になる点としては、【扶助費と人件費が増加】している点です。
ここについては特に行政としてはコントロールが非常に難しい点がありますが、上昇率を見ていると非常に影響度が大きいことが言えます。
📍扶助費:586億5200万円(前年比+26億円)
→障がい福祉サービスや子ども手当の増加が主な要因と言えます。
📍人件費:218億8800万円(前年比+22億円)
→ 人事院勧告による給与改定や退職金など。


そして、3つ目は【市立ひらかた病院】の経営状態です。
約8.9億円の赤字が出ており、悪化しています。
看護師不足による一部病棟の閉鎖による収益減などが大きな影響がありますが、私は根本原因は北河内医療圏におけるひらかた病院の役割やシステムそのものにあるようにも思っています。
次回の一般質問では少しこのあたりも準備をしていきます。
ひらかた病院についてはコロナ禍における空床補償などもあり、利益余剰金がまだ上記赤字の処理をしても11億円程度残っているので、経営赤字を市の一般会計から補填をするというところまでは至っていませんがここの立て直しは急務です。
今後は経営強化プランの中間見直しもされるので私も自身のテーマとしてしっかりと取り組んでいきます。
今回はまずは決算速報値ということで、ざっくりした概況が示された状況です。
9月議会で行われる決算特別委員会にてそれぞれの事業の細かな数値の審査が行われる予定ですのでそれらについても随時ご報告をしてまいります。
現時点の数値を表面的に見ていると
📍中長期的に人口減少に対する向き合い方
→市税収入がどうなっていくのか。例えば会派で取り組んでいる、公共施設マネジメントなどもそうですが、人口ピラミッドが変わっていく中でどういった仕組みを考えていくのかは突っ込んだ議論が必要です。また社会保障の在り方も同様です。
📍予算執行の優先順位の明確化
→どうしても、1つ1つの事業単位でみると重要であり、お困りの方がいることは事実でありどれも最速で進めていくべきであると判断しがちですが、全体を見渡した時にどういった優先順位で着実に進めていくのか。という意思決定が今まで以上に求めれるように思います。
またそうした発信を私たちも心掛けて皆さんと共にひらかたの未来を考えていきたいです。
📍公立病院の在り方について
→私の立場としてはコロナ禍から見ると公立病院は重要だと思っています(以前は必ずしもそうではないと考えていた時もありましたが)。また周産期医療などの政策医療を安定的に提供をしていく公立病院は地域の中で重要な役割を担っています。
一方で、10年、20年単位で考えていくと急性期、回復期(慢性期)の役割の大きさは当然変わってきます。病院というのは維持をしていくことが重視されやすい業界ですし、中々変化を起こすということは難しいと思っています。ただそこに対してしっかりと課題提起をして改革のセンターピンを置いていくことが求められていると思います。
非常に大枠ですが、まずはこういった点に着目をしながら進めていきたいと思います。
現時点では枚方市はまだ体力はあるといえると思いますが、我々だけ良ければという考えではなく、次世代にしっかりとバトンを渡していくことや、将来的にも選ばれるまちにしていくためにも投資についてもメリハリをつけて行っていくべきであります。
引き続きひらかたの未来に向けて議論を進めてまいりますのでよろしくお願いします。