ひらかた病院の経営状況について(令和6年9月定例月議会 一般質問)
少しタイムラグが出てしまいましたが、9月議会にてひらかた病院をテーマに質問をしておりました。
ひらかた病院の決算状況及び一般質問のポイントを共有します。
※記録的な意味を込めてブログにアップいたします。
ひらかた病院の状況とは
令和5年度決算においては2億4000万円の赤字になっています。
これは前年度比較で14億7300万円の減少です。
・コロナ関連補助金廃止、5類移行で公的支援の見直し廃止で計13億8千万円減少
などが最も大きな打撃ですが、、これは以前より多くの議員がいつか迎える現実として指摘をしてきたことは申し添えておきます。
一方で北河内医療圏においては唯一の公立病院という立ち位置は極めて重要でコロナなどの感染症が広がった際にはその存在意義は大きいと言えます。
ただ、今後についてですが恐らく更に大きな経営赤字が広がることが予想されます。
・人勧による人件費UP
・休棟中病棟の損益(10月~4階西、3月~6階西病棟)※小児科の4階西病棟は既に開棟。
現時点では約20億円近くの利益剰余金がありますが、これに頼って長い間の経営は不可能です。
また近く、病院事業運営審議委員会もございますので、随時この辺りは発信します。
大浜の一般質問のポイントは
1.看護師採用について
これは私も前職で専門として向き合ってきたこともあり、様々感じることはございます。
採用手法や条件面、設備等やオンボーディング環境含めた受け入れ態勢などなど・・。
今回要望させていただいているのは「働きたくなる環境整備」についてです。
常に気を張る職場だからこそ、トイレや休憩室などの環境やアメニティの充実など、職員の皆さんがホッとできる環境を作ることは極めて重要です。
※むしろ民間企業であれば既に当たり前に導入されている考え方ですが病院においては中々そこまで至っていないことも多いと思っています。
そういう意味でも特に若手の方を中心にお金をかけずともできる創意工夫や意見を集めるような体制などの強化はできるかもしれません。
2.病院の経営改善に関する観点から、診療報酬について
そもそも病院経営の収益源は、保険診療と保険外収入がありますが、保険外収入はいわゆる自由診療(美容整形や厚労省が認可していない高額医療など。)になりますので結局は保険診療が大切になります。
この保険診療は厚生労働省が定めた医療行為ごとの点数を足し合わせて算出されることになりますので、超簡単に申し上げると
▼より多くの患者さんの治療を行うこと
▼より適切な治療を提供すること(医療単価をあげる)
の2つがとても大切です。
さて、その中で厚労省が定めた点数のことを診療報酬と言いますが、私からはこの診療報酬をよりチャレンジングに取っていくべきではないかという提言をしています。
チャレンジすべき診療報酬加算について
内科、外科、小児科など総合的な入院医療を24時間提供している病院において、一定の要件を満たすことで取得できる「総合入院体制加算」というものがありますがひらかた病院はこちらの「総合入院体制加算3」を取得しています。※3→2→1と1が一番取得困難なもの。
私からは難易度は高いが「総合入院体制加算2」を目指すように提言をしています。
総合入院体制加算2で得られるものと難易度
仮に総合入院体制加算2の取得ができるとすれば単純計算で
年間4,300万円の収益アップ
となります。
総合入院体制加算は、急性期の治療に必要な体制や実績を評価するもので1から3までの区分があります。総合入院体制加算2を取得するためには、がん手術や化学療法など6つの医療実績要件のうち、4つの要件を満たすことが必要となりますが、本院が満たす要件は3つであるため「総合入院体制加算3」を取得しています。総合入院体制加算3の診療報酬は1人1日1,200円で、年間約6,500万円となっています。なお、「総合入院体制加算2」の診療報酬は1人1日2,000円で、年間では約1億800万円となります。(役所答弁)
勿論取得においては現実的に現状のままでは取得は困難。
人工心肺を用いた手術、化学療法・放射線治療の実績が必要になりますが、人員体制や設備面でもクリアは難しいと思います。
(6つの医療実績要件のうち4つが必要で、ひらかた病院は3つまでは獲得していますが残り1つは相当のハードル。)
一方でひらかた病院では、診療局長を中心に看護師や医療技術員、事務職員の他職種で構成する「経営戦略タスクフォース」を院内に組織し、様々な観点から経営改善について議論は継続してくれています。そういった現場プロの目からすると正直、かなりぶっ飛んだ提案だとは思いますが、それくらい大きなチャレンジをしていく画も描く必要があるのではないかという想いがあります。
政策医療、急性期医療を提供し、地域で信頼される病院として責務を果たしていくには、経営状況を好転させる必要があります。
ひらかた病院はコロナ禍において自治体病院として積極的な受け入れを行いその役割を果たしてきました。誰もが経験をしたことがないコロナ禍という難局に対応されてきたその存在意義は大変大きなものがあると思います。
加えてコロナ禍以降については現場の疲労感や患者さん離れなどがコロナ対応をされてきた全国の病院で大きな問題となっており、ひらかた病院でも向き合われていることかと思います。
病院経営は労働集約型であり、設備投資を継続して行うことが重要です。
やみくもに何かを削るのではなく、設備や人材に対する投資をすることで医業収益の総量や単価をあげる努力が必要だと考えます。
非常に困難な問題かとは思いますが、先々を見据えてどのような加算を獲得するのかそのためにどのような設備の投資、人材への投資を行うのかという未来志向型の議論を続けていただき地域にとってなくてはならない病院を目指していけるように私もしっかりと提言していきます。